電子航海暦の公開について
(The Computer Nautical Almanac
 on the Internet) 
 TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)という
通信規約に基づいて、世界中の計算機を通信回線で接続し、情報
交換を行うためのコンピュータネットワークをインターネットと呼んで
いる。これは、1969年に米国国防総省が軍事上の目的から複数
の計算機を通信回線で接続して、パケットという小さな単位に分割
された情報を相互にやり取りするための研究を開始したところから
始まったが、現在では全世界に広く普及し、学術研究の分野のみ
ならず、私達の日常生活に関する情報入手においても必要不可欠
な道具になってきている。この様にインターネットは情報交換の手段
として非常に重要であり、航海の分野でも今後インターネットによる
情報の提供や入手が盛んに行われるようになるものと考えられる。 
  そこで、インターネットによる航海情報提供の一つとして電子航海
暦を開発し、Web上で公開している。これは天体を観測して位置を
求める時に使用されるもので、JPLエフェメリスと星表FK5を利用し
て、光行差、視差、太陽重力場による光の屈折等の補正を行い、
45個の常用恒星と太陽系天体(太陽、水星、金星、火星、木星、
土星、月)の視位置(視赤経・視赤緯)、グリニジ時角、E値等を計算
するためのFortranプログラムである。
  天体を観測して位置を求める技術(天文航法)は17〜18世紀に
ヨーロッパで開発された。そして、この天文航法の開発により航海学
の学問体系が確立したと考えられており、人工衛星を利用した衛星
航法が広く普及した現在、天文航法はほとんど利用されなくなってい
るが、測位計算の基礎を学ぶ上で非常に重要であり、現在でも商船
系の教育機関で教えられている。
  携帯型ノートパソコンが普及し、教育にも広く取り入れられるように
なった現在、計算機上で動作する航海暦すなわち電子航海暦があれ
ば非常に便利である。ここでは、電子航海暦及びそのWEB上での
実行方法について簡単に紹介する。